体外受精(ふりかけ)と顕微受精の利点欠点はどのようなことがありますか?また、両者の妊娠率に差はありますか?先日、医師に抗核抗体陽性で数値が高め(160倍)であると受精障害に関係すると言われました。媒精方法はどちらが良いでしょうか?

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ご質問ありがとうございます。

まず、体外受精と顕微受精の利点と欠点について両者を比較しながらお話します。

体外受精の利点は
・精子が自ら卵子に入るのでより自然に近い受精法である
・コストが安い
・発育が良い(傾向にある)
・受精操作によって卵子が変性することがほぼない

一方で、欠点は
・ 受精率が顕微受精と比べて10〜20%ほど低い(傾向にある)
・ 多精子受精のリスクが高い
・ 一個も受精しない完全受精障害のリスクがある

続いて、顕微受精の利点は
・ 受精率が高い(傾向にある)
・ 精子の状態が悪くても実施可能
・ 多精子受精のリスクがない
・ 卵子の成熟を確認して施行できる

一方で、欠点は
・ 最も人工的な治療である
・ 卵子の中に培養液が少量注入される
・ 胚発育が悪い(傾向にある)
・ コストが高い
・ 顕微受精操作によって卵子が変性してしまうリスクがある

以上です。
体外受精と顕微受精の妊娠率は胚盤胞移植であれば変わらないという報告が多いです。PGT-A後の正常胚率も同等であるという報告があります。

気になったのが、抗核抗体陽性の件です。
抗核抗体陽性患者様の卵子は、採卵後に未熟である割合が高く、顕微受精を行なっても多前核(多精子受精のような前核を形成してしまう)となってしまう割合が高いです。
抗核抗体陽性に関しては、これといった対策が今のところなく、とにかく正常に受精し、発育する卵子に出会うまで続けるというのが現状です。

お金に余裕があるのであれば、私は成熟が確認でき、受精率が高い傾向にある顕微受精をお勧めします。

以上です。
少しでもお力になれれば幸いです。
無事にご妊娠、ご出産に至ることをお祈りしております。

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