胚培養士への質問箱まとめ
twitterのpeingを使って、不妊治療、体外受精、精子、卵子、胚に関するご質問を受け付けています。胚培養士ができる限り回答しています。ここでは、Peing上で頂いたご質問と回答をご紹介しています。
体外受精
ご質問ありがとうございます。
予定採卵数はエコーで見た発育卵胞数から推察されて決められると思います。
予定個数より採卵数が少なくなる可能性としては
・ 卵胞液を吸引したけど卵子が入っていなかった
・ エコーで見えていた数が違っていた
・ 一部排卵してしまった
・ 吸引したが回収できなかった
・ 培養士が見つけられなかった
などが考えられます。
ダブルトリガーを行っていて、他に成熟卵が取れているならトリガーは効いている気がします。
あとは、毎回どのくらい少なくなっているかはわかりませんが、予定より1〜2個少ないのであれば仕方がないような気がします。
毎回予定数の半分くらいしか取れないとのことであれば、医師の採卵技術や培養士の検卵技術が低いとしか言えません。
以上です。
無事にご出産に至る事をお祈りしております。
ご質問ありがとうございます。
ご質問者様の場合、2人目不妊、精子所見良好、AMHに問題ないので、全て体外受精でも問題ないと思います。ICSI適応外ですね。
一方で、このような場合でも1個も受精しない「完全受精障害」の可能性は0ではありませんし、低受精率になってしまう可能性もあります。
クリニックとしては、この完全受精障害となってしまう事が患者様のためにならないと考えているところが多いです。
1個も受精しなければ治療はそこで終了してしまい、また誘発→採卵からやり直さなければいけないためです。また、何も問題がなくても受精しなかった場合の説明が難しいことも理由になります。
ただ、この完全受精障害の確率も10〜20%ほどなので、ほとんどの患者様は問題なく受精します。
おっしゃる通り、クリニック側としては顕微受精自体がコストが高いですし、受精しなければ培養もできず移植もできないので利益が出ないという側面も否定は出来ないでしょう。
本来はこのリスクを説明した上で、体外受精、顕微受精、どちらも行うSPLIT法などの選択肢から患者様に選んで頂くべきと思います。
(症例的に選べる場合は、ですが)
ご質問者様の場合は、一般的には全て体外受精で問題ないと思います。
クリニック側はリスクを理解してもらっているのであれば技術的に無理な事は何もないので、希望を伝えても良いかと思います。
以上です。
少しでもお力になれれば幸いです。
無事にご出産に至る事をお祈りしています。
ご質問ありがとうございます。
いっぱいありますね!
受精用、培養用など用途によっても分かれてます。メーカーごとに市販品もかなり種類あります。
私が使ったことあるのは5〜6種類ですかね。
どれが良いかは患者さんやクリニックによって違うのでなんとも言えないです。
以上です。
ご参考になれば嬉しいです。
ご質問ありがとうございます。
まず、体外受精と顕微受精の利点と欠点について両者を比較しながらお話します。
体外受精の利点は
・精子が自ら卵子に入るのでより自然に近い受精法である
・コストが安い
・発育が良い(傾向にある)
・受精操作によって卵子が変性することがほぼない
一方で、欠点は
・ 受精率が顕微受精と比べて10〜20%ほど低い(傾向にある)
・ 多精子受精のリスクが高い
・ 一個も受精しない完全受精障害のリスクがある
続いて、顕微受精の利点は
・ 受精率が高い(傾向にある)
・ 精子の状態が悪くても実施可能
・ 多精子受精のリスクがない
・ 卵子の成熟を確認して施行できる
一方で、欠点は
・ 最も人工的な治療である
・ 卵子の中に培養液が少量注入される
・ 胚発育が悪い(傾向にある)
・ コストが高い
・ 顕微受精操作によって卵子が変性してしまうリスクがある
以上です。
体外受精と顕微受精の妊娠率は胚盤胞移植であれば変わらないという報告が多いです。PGT-A後の正常胚率も同等であるという報告があります。
気になったのが、抗核抗体陽性の件です。
抗核抗体陽性患者様の卵子は、採卵後に未熟である割合が高く、顕微受精を行なっても多前核(多精子受精のような前核を形成してしまう)となってしまう割合が高いです。
抗核抗体陽性に関しては、これといった対策が今のところなく、とにかく正常に受精し、発育する卵子に出会うまで続けるというのが現状です。
お金に余裕があるのであれば、私は成熟が確認でき、受精率が高い傾向にある顕微受精をお勧めします。
以上です。
少しでもお力になれれば幸いです。
無事にご妊娠、ご出産に至ることをお祈りしております。
私のクリニックでも、どうしても発育が改善しない、移植までたどりつけないという患者さんは少なくありません。
正直なところ、胚培養士として無力ですが、これをすれば改善するというようなものをご紹介することはできません。
効果があるかはわかりませんが、残された方法としては、体質の改善や、培養液の変更、精子の選別方法の変更(IMSIや選別デバイスを使った方法)などが考えられます。
また、3日目で分割停止してしまうとのことでしたので、初期胚で移植を行うことも戦略としてアリかと思います。
移植あたりの妊娠率はさほど期待できませんが、移植しない事には妊娠する可能性もゼロとなってしまいます。
無駄な移植はしたくない、費用を抑えたいなどの問題もあると思いますので、よく考えて検討してくださればと思います。
胚移植
移植時のホルモン測定の必要性についてですが、これは医師の間で賛否が別れているようです。
エストラジオールについては内膜を発育させるホルモンなので、移植日の血中濃度はほぼ関係ないと思います。
一方で、移植日のプロゲステロン値が低いと妊娠率が低下する傾向にあるという報告と、全く変わらないとする報告があり、賛否が別れています。
また、P4補充の薬剤の形状によって移植日のホルモン値も異なるようです。
不安がある場合は、膣錠+経口により補充しているクリニックもあります。
おそらく医師いう通り、移植日のホルモン値よりも内膜厚の方が妊娠に重要であると考えられていると思います。
内膜が育っているのであれば、ホルモン補充は効いているのではないかと思います。
ただ、内膜厚8mmは移植可能ですが、決して厚くはないのでそこに関して医師と相談した方が良いかもしれません。
また、5AAと胚盤胞の中ではトップグレードの胚ですが、妊娠率は50%〜60%であり、決して100%ではありません。
着床しなかった原因が、内膜か胚かはわかりませんが、1回の移植で妊娠できる可能性はもともと半分くらいしかないと考えて頂ければと思います。
移植の際に、カテーテルに胚が戻ってきてしまうという現象はどうしても起きてしまいます。
原因はよくわかりませんが移植者(医師、培養士ともに)によるものか、カテーテルの不備が考えられます。
個人的には、戻ってくるというよりもカテーテルから出ていかなかったのではないか?と思っています。
頻度は稀で、およそ1000回に1回くらいだと思います。
胚へのダメージに関しては、通常よりも体外にいる時間が長く、温度やpHなどが最適ではない状態に曝されるため少なからずあると思います。また、カテーテルで吸ったり吐いたりされたことによる物理的なダメージも否定できないため、着床率の低下の可能性はありえると思います。
しかし、着床して体内で発生すれば、移植が原因による流産や、産まれてきた赤ちゃんに何かしらの悪影響や障害が起きる可能性は、あまりないと考えられます。
私の知る限りですが、一卵性双胎になるリスクと胚盤胞のグレード、大きさ、発育スピードなどとの関係性についてはほぼ報告がないと思います。
一卵性双胎になるリスクが上昇するパラメーターは
胚盤胞移植 > 分割期胚移植
母体年齢35歳未満 > 35歳以上
媒精法 cIVF > ICSI
AHA あり > なし
などが関連していると報告があります。
すでに胚があるのであれば、移植時のAHAはしない方が良いかもしれません。
ご質問ありがとうございます。
TRIO検査済で、EMMAで悪玉菌が優勢だったという事でしたが、いくつか確認したい事があります。
まず、invagやラクトフローラを服用したとの事ですが、その後内膜フローラが善玉菌優勢に改善した事を確認していますか?
悪玉菌を抗生物質服用などで殺菌し、子宮内膜炎の治療を完了してからでないと、善玉菌が子宮内膜で増殖できない可能性があります。
最近では、内膜のCD138陽性細胞の検査が子宮内膜炎の診断に効果的との報告があります。
また、ERA対策済とはERA検査ではズレがなかったという事でしょうか?
子宮内膜炎治療前にERA検査を行った場合は、子宮内膜炎により内膜の受容期がズレた状態でERA結果が出てしまう可能性があります。この場合、再検査すると結果が違って出てくる場合があります。
ご質問者様の場合、悪玉菌優勢だったこともあり、子宮内膜炎の治療が完了した事を確認した上で、ERA検査や胚移植を行う方が安心だと思います。
以上のことが問題なければ、2個移植は効果的だと思いますので検討して良いと思います。
以上です。
ご参考になれば幸いです。
無事にご出産に至る事をお祈りしています。
ご質問ありがとうございます。
そもそも、アシステッドハッチングを行う事で妊娠率が向上するかどうかは確実なエビデンスがありません。
AHAは「保険」のようなもので、「移植後に胚が孵化できないために、着床できなかった」というリスクを回避するために行います。
また、BL-3のような拡張しきれてない胚盤胞に対してAHAを行うことに関してですが、特にデメリットはないと思います。透明帯は拡張するためには邪魔でしかないので、孵化しても胚盤胞は大きくなります。
むしろ、透明帯の存在により拡張が上手くできない事が原因で孵化ができない可能性も考えられますので、個人的には行う事に意味はあると思います。
以上です。
お力になれれば嬉しいです。
無事にご出産に至る事をお祈りしております。
精子・男性因子
ご質問ありがとうございます。
まず、精子の正常形態率とDNA断片化率は同じことを指しません。
正常形態率は奇形精子の割合を示しており、精子の見た目を評価しています。
DNA断片化は、特別な機器で精子の中のDNAの状態を調べてるため、目に見えない異常の割合を検査します。
ただ、両者に関係性はあり、正常形態率が低いほど、DNA断片化が高い傾向にあります。
精子の胚への影響は濃度や運動率など、総合的に判断しないとわからないですが、正常形態率が0%の症例の成績が低下するという報告がありました。
しかし、正常形態率の基準値は4%以上ですので、そこまで気にされなくても良いかと思います。
zymotは、swim up法の強化版のようなデバイスですが、新しいデバイスなのであまりエビデンスが蓄積されていません。いくつか顕微受精で成績が向上するという報告はありますが、本当に効果があるかは結論が出ていません。
ふりかけ法を行いたいのであれば、普通の調整法で充分だと思っています。
以上です。
少しでもお力になれれば幸いです。
無事にご出産に至る事をお祈りしております。
ご質問ありがとうございます。
PICSIと精索静脈瘤の治療、どちらがICSIの成績に効果的か?というご質問ですが、これは、直接的に比較した論文がないのでどちらが優れているかとは言い難いです。
PICSIは、精子の中からDNA損傷していない精子を選別してICSIする手法で、受精後の発育率や妊娠率が向上するという報告があります。
精索静脈瘤の治療は、治療を行うと射出精子の総合的なDNA損傷を改善するという報告や、治療後のICSI成績が向上するという報告があります。
PICSIは、歴史が浅い技術であまりエビデンスが多くなく、「効果がない」という報告もあります。精索静脈瘤治療の方が治療の歴史が深く、知見が多いと思います。
個人的には、泌尿器科医にちゃんと相談したうえで、精索静脈瘤の治療を優先すべきかなと思います。ステージによってはサプリや漢方でも改善するという報告もあります。
精索静脈瘤治療→PICSI→PGT-Aの順が良いのかなと思います。
以上です。
少しでもお力になれれば幸いです。
無事にご出産に至る事をお祈りしております。
ご質問ありがとうございます。
顕微受精の際に高倍率で、精子を観察した際に精子の頭部に空胞がある場合は、DNAが断片化した精子である可能性が高いという報告があり、これを回避するためにIMSIというオプションを行うクリニックもあります。
ただ、このIMSIという技術自体、効果に賛否が別れるものですし、空砲がある精子であってもDNAが断片化していない精子も存在するようです。
今回、胚培養士さんが空砲がある精子で顕微受精せざるを得なかったということは、探してもそういう精子しかいなかった可能性が考えられます。ただ、胚盤胞まで発育したのであれば、ある程度精子のDNAの正常性は高かったのではないかと推測します。
もう一点
奇形精子症がお子さんにも引き継がれるか?というご質問ですが、奇形精子が遺伝的な異常が原因で起きているかがはっきりとわかっておりませんので、なんとも言えません。
しかし、重度の男性因子のため顕微受精を行って出産された場合は、男の子に精液所見不良が引き継がれる可能性は報告されています。
必ず、ではありませんが可能性はあると考えておいて頂ければと思います。
以上です。
お力になれれば幸いです。
無事にご出産に至る事をお祈りしております。
ご質問ありがとうございます。 大変難しいご質問ですが、「良くはない」と回答しておこうかと思います。 過度に心配する必要はないと思います。 精子が精巣で作られ始めて射精されるまで、約70から120日くらいかかります。 逆に、採卵の数日前から生活習慣を変えたくらいでは極端に良くも悪くもならないと私は考えています。 無事にご妊娠、ご出産されることをお祈りしております。
ご質問ありがとうございます。
TESE精子やIMSIも行った事があるとのことで、クリニック側もいろいろご提案しているように感じました。
男性不妊に関わらず、不妊治療自体が数打ち当たる的なやり方に頼らざるを得ない治療です。
あとご提案できることと言えば、PICSIがあるかなと思います。精子セレクション方法の一つでヒアルロン酸に接着した精子を回収してICSIを行う方法です。
エビデンスはいくつか論文が出ておりますが、コストが高いので導入しているクリニックがあまりないかもしれません。通院中のクリニックにお問い合わせください。
また、奥様の年齢や卵子の質も、成績に影響しますので男性因子のみが原因とも言い切れません。良い卵子と良い精子が受精するまで採卵を行っていくしかないかもしれません。
以上です。
あまりお力になれず申し訳ありません。
無事にご出産に至る事をお祈りしております。
胚評価
ご質問ありがとうございます。
ダイレクトクリベージ(DC)起きた胚は、胚盤胞到達率が低下することが報告されており、初期胚で移植する際のセレクションに用いられます。
一方でDCが起きた胚であっても、胚盤胞できれば、妊娠率は変わらないという報告が多いです。
残念ながら、DCが起きる原因についてはあまりわかっておらず、対策も難しいかもしれません。考察されている原因としては、精子の紡錘体や中心体の異常が原因ではないかと言われています。
効果があるかはわかりませんが、媒精法を変えてみたり、IMSIを行ってみたりすることが一つの対策になるかもしれません。
また、移植あたりの妊娠率を向上させるために、DCが起きた胚は胚盤胞まで発育させてから移植することを検討してみても良いかもしれません。
以上です。
お力になれれば幸いです。
無事にご妊娠、ご出産に至ることをお祈りしております。
ご質問ありがとうございます。
流産を繰り返してしまっていて、とてもお辛いと思います。
流産原因の約50%が胚の染色体異常と言われていますが、正常胚を移植しても流産してしまうことはあります。
また、習慣性流産と遺伝子に関していくつか報告があります。遺伝子異常というよりも、遺伝子変異という言い方が適当かもしれません。
詳しい説明は割愛しますが、妊娠の維持に関わるタンパク質をコードする遺伝子の配列がほんのちょっとだけ違っていて、通常よりも流産を繰り返してしまう場合があるようです。
ご質問者様が、その遺伝子変異を持っているかはわかりませんが、そういう可能性もあり得ると思います。
その他に、正常胚移植後の流産に関わる因子として報告されているのは、BMI値、ICMのグレード、胚の培養日数などが関与しているという報告があります。
正常胚2個で、1人産める確率というのは、正常胚の生時獲得率が50%以上あるので、
理論上、2個有れば産めるということだと思います。論文でそのような記述はあまり見たことはありませんが、「この年齢に必要な採卵数はこのくらい」という論文は見たことがあります。
不育症対策済みということですので、ほとんどの治療や検査などは行なっていると思いますが、習慣性流産に詳しい医師のセカンドオピニオンなどを検討してみるのも良いかもしれません。
以上です。
詳しいご説明やご提案ができず申し訳ありません。少しでもお力になれれば幸いです。
無事にご出産に至る事をお祈りしております。
ご質問ありがとうございます。
良好胚率に関する報告は多数ありますが、私の知る限りTEのみの評価に影響する因子についてはあまり報告はありません。
TEのグレードがBでもICMのグレードがAであれば良好胚と分類されますし、ABの妊娠率も決して低くないのであまり気になさらなくても良いかと思います。
習慣性流産(2回以上の流産)の疑いがある場合は、不育症の検査や子宮鏡などにより、原因を調べる必要があるかもしれません。
主治医にご相談頂ければと思います。
以上です。
あまりお力になれず申し訳ありません。
無事にご出産に至る事をお祈りしております。
PGT-Aで正常胚を獲得できたからといって、夫婦の染色体異常が確実にないとは言い切れませんし、正常胚と判定された胚も確実ではありません。
なぜなら、PGT-Aでは染色体の量に過不足のない構造異常は判定できませんし、胚の一部分のみのDNAが調べていないため、胚全体で異常がないという証明にならないからです。
PGT-A正常胚は、「染色体正常である可能性が高い胚」と考えておいた方が良いと思います。
まず、PGT-AとNIPTは目的が違いますし、NIPTはやらなければいけない検査ではありません。
PGT-Aは染色体正常の可能性の高い胚をセレクションすることで流産を回避するために行います。
一方で、NIPTは妊娠した胎児に染色体異常(ダウン症などの出産の可能性がある染色体異常)がないかを調べ、異常があれば人工中絶するかを検討するために行います。
また、PGT-AもNIPT確定診断ではありません。
つまり、どちらも染色体異常がないという結果が出たとしても染色体異常を持つ子が産まれてくる可能性はあります(逆もあり得ます)。
そのため、もし異常の疑いがあった場合は侵襲性のある絨毛検査や羊膜検査を行う必要があります。
もちろん、PGT-Aで正常胚を移植すれば、染色体異常を持つ子が産まれてくる確率は低下しますが、確実ではありません。
勘違いして頂きたくないのは、私はPGT-AもNIPTも反対する気はありません。
ただ、場合によっては難しい選択を迫られる可能性がある検査だということは、認識してから行った方が良いと思います。
ちなみに、染色体異常をもつ胚盤胞でも綺麗な形態良好胚に発育するため、形態評価は、染色体正常性を担保するものではありません。
ご質問ありがとうございます。
残念ながら、胚のフラグメント発生原因はあまり解明されておりません。
報告によっては、年齢との関係性も低いとされています。そのため、しっかりとしたエビデンスがあるような検査や対策はあまりご紹介できません。
分割期胚のフラグメントの量は、胚盤胞発生率に影響します。
フラグメントの他に、胚の細胞数やダイレクトクリページの有無なども胚盤胞発生率に影響します。
一方で、これらの指標はフラグメントも含めて胚盤胞まで発育すればさほど問題がなくなると言われています。
最近、学会発表などで報告されているもので、卵子の透明帯の存在が胚分割の妨げになってしまい、フラグメントを発生させている可能性があるとの報告があります。その報告によると、受精後すぐに透明帯を取り除くことで、フラグメントが減少し、発育や臨床成績が改善したと報告しています。
以上です。
あまりお力になれず、申し訳ありません。
無事にご出産に至る事をお祈りしております。
胚盤胞のサイズと質に関しては、国内の学会発表でかなり報告されていたためセレクションとして利用しているクリニックが多いです。
ただ、あまり国際的な論文としては報告されていません。
国際的にはガードナー分類でBL2よりもBL3、BL3よりもBL4の方が妊娠率や生児獲得率が高いという論文はいくつかあります。
すなわち、よりサイズが大きい方が妊娠率や生児獲得率が高いとされています。
妊娠率、生児獲得率が高いということは、染色体正常性にも関与している可能性は高いです。
クリニックによって大きさを測定しているかどうかがわからないので、凍結や移植前に測定していればわかると思いますが、測定していなければ凍結、移植後ではもうわかりません。(タイムラプスインキュベーターで培養していれば別ですが)
ご質問ありがとうございます。
ご質問の件ですが
まず、体外受精と顕微受精由来の胚盤胞のどちらが妊娠しやすいか?についてですが、「変わらない」という報告が多いです。
妊娠率や、正倍数性胚の割合も変わらないという報告が見られます。
一方で、顕微受精の操作は体外受精と比べるとかなり人工的です。人が選んだ精子を、卵子の膜を破いて注入します。この時、精子と一緒に培養液など体内にはないものがほんの少しだけ卵子に入ります。こういった事から、より自然に近い体外受精由来の胚から移植を行う方針のクリニックもあります。
より早く妊娠し、出産を目指すのであれば、受精させた方法に関わらずグレードの良い胚盤胞から順番に移植を行うと良いと思います。
ちなみに、グレードの付け方や成績は、クリニックにより異なるので通院されているクリニックに準じて頂ければと思いますが、私のクリニックでは、5BBよりも3AAの方が妊娠率は高いです。
以上です。
お力になれれば幸いです。
無事にご出産に至ることをお祈りしております。
障害児という言い方が正しいかわかりませんし、障害というと範囲が広くて難しいですが、先天性異常を持って産まれてくる割合と胚のグレードは関連しないという報告が多いです。
ちなみに、採卵ー体外受精(顕微受精)施行によって先天性異常や自閉症、発達障害児がわずかに増加するという報告は存在します。
胚盤胞の写真とランクを見せられたのですが、写真から良い胚盤胞を見分ける方法がわかりません。何かポイントなどはありますか?また、ICSIの4AAと IVFの4ABでどちらを移植しようか迷っています。
胚盤胞のグレード(ランク付け)はクリニックで微妙に差があります。
また、胚は球体ですので平面の写真で完璧に判定するのも難しいです。
ざっくりとした解説になりますが、基本的には細胞が多い胚を良い、少ない胚を悪いと判定します。
胚盤胞では、ICM(胎児になる細胞)とTE(胎盤になる細胞)を別々に評価します。
ICMは、細胞がぎゅっとくっついた立体的な細胞の塊なので、細胞数を正確に数えるのは非常に難しいです。そのため、一般的には胚の大きさあたりの塊の大きさで評価します。
大きい→A、小さい→B、ほとんど無い→Cと判定します。
TEは、胚の全体を覆っている上皮状の細胞です。
胚は球体なので、球体の表面全体に細胞がサッカーボールのように敷き詰められています。
抜けがなく、表面全体に細胞が敷き詰められている状態→A、一部分細胞の抜けがある→B、細胞がほとんどない、数えられるくらい少ない→Cと判定します。
一般的に、形態評価より勝る評価方法はPGT-Aの結果のみとされています。
最近では、ICMよりもTEのグレードがより妊娠と関係するという報告もあります。
そのため、ICSI由来の胚に抵抗がない場合であれば、4AAから移植する方が妊娠する可能性は高いと考えられます。
不妊治療全般
不妊の定義ですが、1年間夫婦生活を営んでも妊娠に至らないカップルと定義されており、その後、一般不妊検査を行った上でタイミング→人工受精→体外受精とステップアップしていきます。
私が体外受精が必要か疑問に思った患者様は
人工受精も2回ほどしか実施しておらず、卵管因子、PCOSなどの所見もなく、精液所見も良好、卵巣刺激法をして数十個採卵し、数十個良好胚盤胞を凍結し、一度の凍結融解胚移植で妊娠していきました。
結果論になりますが、必要だったのか疑問に思いました。
もちろん、不妊原因が見当たらなくとも妊娠に至らない、体外受精を行っても簡単に妊娠しない方も見ているので「やらなくていい」とも言えませんが、人工受精をあと何度か試しても良かったのでは?と思う時もあります。
不妊クリニックは、体外受精をやりたいと言えば断りません。言い方が悪いですが、儲かりますので。何か原因がある場合は別ですが、20代の患者さんはタイミングと人工受精をある程度行ってからステップアップする方が良いのではと考えています。
ご質問ありがとうございます。
流産を繰り返してしまっていて、とてもお辛いと思います。
流産原因の約50%が胚の染色体異常と言われていますが、正常胚を移植しても流産してしまうことはあります。
また、習慣性流産と遺伝子に関していくつか報告があります。遺伝子異常というよりも、遺伝子変異という言い方が適当かもしれません。
詳しい説明は割愛しますが、妊娠の維持に関わるタンパク質をコードする遺伝子の配列がほんのちょっとだけ違っていて、通常よりも流産を繰り返してしまう場合があるようです。
ご質問者様が、その遺伝子変異を持っているかはわかりませんが、そういう可能性もあり得ると思います。
その他に、正常胚移植後の流産に関わる因子として報告されているのは、BMI値、ICMのグレード、胚の培養日数などが関与しているという報告があります。
正常胚2個で、1人産める確率というのは、正常胚の生時獲得率が50%以上あるので、
理論上、2個有れば産めるということだと思います。論文でそのような記述はあまり見たことはありませんが、「この年齢に必要な採卵数はこのくらい」という論文は見たことがあります。
不育症対策済みということですので、ほとんどの治療や検査などは行なっていると思いますが、習慣性流産に詳しい医師のセカンドオピニオンなどを検討してみるのも良いかもしれません。
以上です。
詳しいご説明やご提案ができず申し訳ありません。少しでもお力になれれば幸いです。
無事にご出産に至る事をお祈りしております。
ご質問ありがとうございます。
良好胚率に関する報告は多数ありますが、私の知る限りTEのみの評価に影響する因子についてはあまり報告はありません。
TEのグレードがBでもICMのグレードがAであれば良好胚と分類されますし、ABの妊娠率も決して低くないのであまり気になさらなくても良いかと思います。
習慣性流産(2回以上の流産)の疑いがある場合は、不育症の検査や子宮鏡などにより、原因を調べる必要があるかもしれません。
主治医にご相談頂ければと思います。
以上です。
あまりお力になれず申し訳ありません。
無事にご出産に至る事をお祈りしております。
ご質問ありがとうございます。
また、詳細な治療歴を教えて頂きありがとうございます。
まず、初期胚移植ですが、胚盤胞移植には劣るものの、妊娠率は10〜30%ほど期待できます。そのため、現在も多数のクリニックで施行されており、意味がないというのは少し違うかなと思います。
ご質問者様の場合、低刺激でも採卵数が多いので、高刺激にした場合はさらに1度の採卵で多くの卵子が獲得できる可能性が考えられます。
高刺激の場合は通院回数が増えたり、薬剤の副作用が強く出たりするデメリットもありますが、一回の採卵あたりの利用胚率は低刺激より期待できます。
低刺激で上手くいっていないのを考えると高刺激のクリニックに転院するのもアリだと思います。
気になったのが、これまで6〜10個取れる採卵を8回して、胚盤胞として利用できたのが3個というのは、年齢を考慮してもあまりに少ないかなと思います。
(少なく見積もっても、採卵数あたりの胚盤胞率が7%未満)
そういう点も考えると、患者さんによって合う合わないもありますので、転院を検討されるのが良いかなと思います。
以上です。
少しでもお力になれれば幸いです。
無事にご出産に至る事をお祈りしております。
一般的には、人工授精を5〜6回ほど施行しても妊娠に至らなければ、ステップアップすべきと言われています。
ただ、これはあくまでも目安なので、例えば7回目8回目で妊娠される方もいます。
精液所見が毎回良好で、不妊原因が特に見つからない場合はあと2〜3回行なっても良いかもしれません。
また、ビタミンD欠乏は着床不全に関与するという報告があるため、何か対策しておいた方が良いかもしれません。
人工授精の妊娠率は約10%前後で決して高くはありませんが、採卵ー体外受精は人工授精よりも遥かに高額で、身体的負担も増すので、よくご検討頂ければと思います。
ご質問ありがとうございます。
おっしゃる通り、胚培養士の写真や経歴がHPに掲載されているクリニックとそうでないクリニックが存在します。むしろ掲載されているクリニックの方が少ない印象です。
クリニックによって胚培養士に対する考え方が違いますし、スタンスも違いますので一概には言えません。
私の考えとしては、昔は胚培養士のほとんどが女性で、妊娠出産を機に辞めてしまう方が多かったそうです。
つまり、あまり長く働く方もおらず、入れ替わりの多い部署であったことと、そもそも裏方メインの仕事だったのであまり大々的にHPなどに記載しなかったのかなと考えています。
最近は、長く働いている胚培養士さんの中から、学会や論文発表をしたり、学位を取得した高学歴の方が出始め、その方々が培養室という部署の長をし、培養室の管理職として働く形が生まれ始めたことで、胚培養士の地位が認められHPで紹介するようなクリニックがで始めたのではないかなと思います。
ただ、そういった管理職として働いている胚培養士はまだまだ多くはなく、管理職の胚培養士がクリニックにいない場合は、HPに記載していないのかなと考えています。
もちろん、胚培養士が顔や名前を出したくないからという理由のクリニックもあると思います。
クリニック選びの時にHPに胚培養士の経歴や顔が掲載されていると確かにちゃんと培養室に力を入れたクリニックというイメージはつきますし、それで間違いはない気はします。
あくまで、個人的な考察です。
以上です。お力になれれば嬉しいです。
数年前に、採卵時に卵胞を洗浄してもしなくても、採卵できる個数は変わらないという報告が出た事により、意見が真っ二つに分かれています。
洗浄しない派の主張は、「一度の吸引で取れないのは採卵が下手だから」「何度も洗浄液で洗う事で卵子にダメージとなる」という物が多いです。何より時短になるのが利点ですね。
洗浄する派の主張は、「洗浄しなかったら取れなかった卵子があるはずだ」「少しでも多くの卵子を取るべきだ」という物が多いです。
ちなみに、洗浄液は市販の物を使用しているクリニックが多く、緩衝液に血清が少し入ったような物なのでそこまで身体に悪いことはないと思いますが、「体内に入れなくて良いもの入れている」といえばその通りだと思います。
私の所属するクリニックでは洗浄をたくさん行うのですが、確かに2〜3回目の洗浄で取れてくることがあるので、意味がないとは言い切れません。
一方で、洗浄ありきで吸引しているので最初の卵胞液吸引がおざなりになってしまっているのでは?と思う時もあります。
採卵が上手な先生であれば、洗浄するしない、どちらでも変わらないのではないかと思います。
私の個人的な意見ですが、ご年齢や出産歴、妊娠と流産の経過を考慮すると、子宮や卵巣機能、胚発育に問題はなく流産の原因は胚の染色体異常ではないかと推察します。
そのため、出産までの最短コースを考えると一般不妊検査後、体外受精→PGT-Aが最も合理的と考えます。
一方で、このプランは流産をできるだけ回避できるというメリットがありますが、最も費用が高い方法です。
そして、不妊治療は「これを行なったから確実に妊娠出産できる」治療ではない事を覚えておいてください。
タイミングや人工授精でも妊娠できる可能性もあると思いますので、費用や流産のリスクなどを踏まえて医師とご相談の上、お考え頂けたらと思います。
ご質問ありがとうございます。
どういった形で治療成績を出しているかわかりませんので、一概には言えませんがいろいろな事情があるかと思います。
治療成績が下がったからという理由も考えられますし、データを出すスタッフが居なくなってしまっていたり、単純に更新する暇がなかったりと様々な理由が考えられます。
また、出産率まで出すとなると、追跡に一年近くかかったりしますので、出揃ってたとしても2019年の成績までかと思います。
あと、治療成績は右肩上がりになるようなことはないと思いますので、下がったからといって悪いクリニックとは限りません。
良いクリニックか確かめるためには、電話で聞いてみるのが良いと思います。
「2019年の採卵件数、胚移植あたりの妊娠率、出産率はどのくらいですか?」と聞いてみて、答えられない、または教えられないということであれば辞めたほうが良いかもしれません。
以上です。
お力になれれば幸いです。
無事にご出産に至ることをお祈りしております。
ご質問ありがとうございます。
なんのお薬を飲んでいるかわからないので、お答えするのが難しいです。また、薬の副作用については医師から説明すべきと思います。
しかし、排卵誘発や卵胞発育薬は基本的にはホルモン剤なので、様々な影響が出る事が考えられます。
頭痛や火照りなどの副作用が出る事もあるようです。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)であれば、さらにホルモンの分泌量が過剰になりますので、普通の患者さんよりも症状が出やすい可能性も考えられます。
また、PCOS自体の症状に、インスリン抵抗性による肥満が挙げられますのでそういった影響もあるかもしれません。
不眠に関してですが、抗酸化作用の強いメラトニンは、サプリメントとして摂取する事で卵子の質向上に寄与するという論文があります。
メラトニンは、睡眠ホルモンですので寝る前に服用すると眠りが深くなります。
睡眠導入剤のような強いものではなく、卵子に悪影響がないので良いのではないかと思います。
日本ではサプリメントとして売られていないので、クリニックで購入するか、自己輸入する必要があります。
以上です。
無事にご出産に至る事をお祈りしております。
私のクリニックでも、どうしても発育が改善しない、移植までたどりつけないという患者さんは少なくありません。
正直なところ、胚培養士として無力ですが、これをすれば改善するというようなものをご紹介することはできません。
効果があるかはわかりませんが、残された方法としては、体質の改善や、培養液の変更、精子の選別方法の変更(IMSIや選別デバイスを使った方法)などが考えられます。
また、3日目で分割停止してしまうとのことでしたので、初期胚で移植を行うことも戦略としてアリかと思います。
移植あたりの妊娠率はさほど期待できませんが、移植しない事には妊娠する可能性もゼロとなってしまいます。
無駄な移植はしたくない、費用を抑えたいなどの問題もあると思いますので、よく考えて検討してくださればと思います。
障害児という言い方が正しいかわかりませんし、障害というと範囲が広くて難しいですが、先天性異常を持って産まれてくる割合と胚のグレードは関連しないという報告が多いです。
ちなみに、採卵ー体外受精(顕微受精)施行によって先天性異常や自閉症、発達障害児がわずかに増加するという報告は存在します。
ご質問ありがとうございます。
TRIO検査済で、EMMAで悪玉菌が優勢だったという事でしたが、いくつか確認したい事があります。
まず、invagやラクトフローラを服用したとの事ですが、その後内膜フローラが善玉菌優勢に改善した事を確認していますか?
悪玉菌を抗生物質服用などで殺菌し、子宮内膜炎の治療を完了してからでないと、善玉菌が子宮内膜で増殖できない可能性があります。
最近では、内膜のCD138陽性細胞の検査が子宮内膜炎の診断に効果的との報告があります。
また、ERA対策済とはERA検査ではズレがなかったという事でしょうか?
子宮内膜炎治療前にERA検査を行った場合は、子宮内膜炎により内膜の受容期がズレた状態でERA結果が出てしまう可能性があります。この場合、再検査すると結果が違って出てくる場合があります。
ご質問者様の場合、悪玉菌優勢だったこともあり、子宮内膜炎の治療が完了した事を確認した上で、ERA検査や胚移植を行う方が安心だと思います。
以上のことが問題なければ、2個移植は効果的だと思いますので検討して良いと思います。
以上です。
ご参考になれば幸いです。
無事にご出産に至る事をお祈りしています。
ご質問ありがとうございます。
また、詳細なデータを教えて頂きありがとうございました。
抗セントロメア抗体価が高い患者様は
・成熟率が低い
・多前核が多い(3PNよりもさらに多い前核が出現)
・胚発育率も低い
このような特徴があります。
今回、ご質問者様はふりかけ法でしたが、多精子受精が起こりにくい顕微受精でも、多前核が多いのも特徴です。
ご質問者様の場合、確かに正常受精率が低く、多前核率は高いのですが、成熟率が低くなさそうで、胚盤胞へ発育しており、自然妊娠経験もあることから抗セントロメア抗体の可能性は低いと思います。
ただ、抗体価によって重症度は異なりますので可能性は0ではありません。
安心のために検査するのも良いかと思います。
見分ける方法として、今回の多前核が3個よりもさらに多い前核(4PNや5PN以上)ばかりであったのであれば、抗セントロメア抗体の可能性が疑われます。
ほとんどが3個の多前核であったのであれば多精子受精によるものの可能性が高いです。
私が出会った抗セントロメア抗体価が高い患者様は、多数の卵子に顕微受精を行ってもほとんどが多前核になってしまい、正常受精は10%未満で、そもそも受精させることが難しい状況でした。
さらに受精しても発育は悪く、その傾向は何度採卵しても同じなので、移植可能胚ができるまで採卵を繰り返すしかありませんでした。
抗体価の高さにもよりますが、抗セントロメア抗体の患者様の自然妊娠はかなり難しいと思います。
以上です。
お力になれれば幸いです。
無事にご出産に至る事をお祈りしております。
培養技術
ご質問ありがとうございます。
ダイレクトクリベージ(DC)起きた胚は、胚盤胞到達率が低下することが報告されており、初期胚で移植する際のセレクションに用いられます。
一方でDCが起きた胚であっても、胚盤胞できれば、妊娠率は変わらないという報告が多いです。
残念ながら、DCが起きる原因についてはあまりわかっておらず、対策も難しいかもしれません。考察されている原因としては、精子の紡錘体や中心体の異常が原因ではないかと言われています。
効果があるかはわかりませんが、媒精法を変えてみたり、IMSIを行ってみたりすることが一つの対策になるかもしれません。
また、移植あたりの妊娠率を向上させるために、DCが起きた胚は胚盤胞まで発育させてから移植することを検討してみても良いかもしれません。
以上です。
お力になれれば幸いです。
無事にご妊娠、ご出産に至ることをお祈りしております。
ご質問ありがとうございます。
また、詳細な治療歴を教えて頂きありがとうございます。
まず、初期胚移植ですが、胚盤胞移植には劣るものの、妊娠率は10〜30%ほど期待できます。そのため、現在も多数のクリニックで施行されており、意味がないというのは少し違うかなと思います。
ご質問者様の場合、低刺激でも採卵数が多いので、高刺激にした場合はさらに1度の採卵で多くの卵子が獲得できる可能性が考えられます。
高刺激の場合は通院回数が増えたり、薬剤の副作用が強く出たりするデメリットもありますが、一回の採卵あたりの利用胚率は低刺激より期待できます。
低刺激で上手くいっていないのを考えると高刺激のクリニックに転院するのもアリだと思います。
気になったのが、これまで6〜10個取れる採卵を8回して、胚盤胞として利用できたのが3個というのは、年齢を考慮してもあまりに少ないかなと思います。
(少なく見積もっても、採卵数あたりの胚盤胞率が7%未満)
そういう点も考えると、患者さんによって合う合わないもありますので、転院を検討されるのが良いかなと思います。
以上です。
少しでもお力になれれば幸いです。
無事にご出産に至る事をお祈りしております。
ご質問ありがとうございます。
胚培養士のスキルがPGT-Aの結果に影響するという報告はちらほら見かけます。
PGT-Aを行うためには生検(バイオプシー)と言って胚の細胞を少しだけちぎって採取する操作が必要になります。
この操作の良し悪しがPGT-Aのモザイク率などに影響するという報告を見たことがあります。
また、採取した細胞塊は小さい胚よりもさらに極小で、その細胞塊を検査に出す用のチューブに移す作業がかなり気を使います。
もしチューブに入らなければ検査不良となり再検査となってしまいます。
ただ、小さいクリニックだからといって、技術力が大手のクリニックより劣るとは限りません。小規模でも技術力の高いクリニックはたくさんありますし、臨床試験分担施設であれば、ある程度の技術は確保していると思います。
これに関してはクリニックを信頼するしかないところかと思います。
以上です。お力になれれば幸いです。
無事にご妊娠、ご出産に至ることをお祈りしております。
ご質問ありがとうございます。
トリオ検査の必要性については、医師やクリニックよって意見が分かれるところだと思います。ご質問者様のクリニックの院長が言うように、数年の間に子宮の状態が変わっている可能性は考えられると思います。
ここで言う子宮の状態の変化とは、子宮内膜フローラの割合や、子宮内膜炎の有無です。
子宮の受容期がわかるERA検査ですが、子宮内膜炎があると正確に判定できず、ズレてしまうという報告があります。
妊娠、出産の経験があるということでしたので、選択肢としては3つあるかな、と思います。
①とりあえず検査せずに1〜2回移植して、着床できなければ、トリオ検査を行う。
②EMMA、ALICE検査を行い、異常がなければ、そのまま移植。異常があれば治療した後に、ERAをやった上で移植
③トリオ検査をしてから移植
①はコストが抑えられる可能性がありますが、凍結胚が無駄になる可能性もあります。
③は、コストがかかりますが、胚を無駄にする可能性が下がります。
②はちょうどバランスをとった選択肢で、妊娠歴があるからできることかな?と思います。
必須の検査ではありませんし、妊娠歴もあるので個人的にはやらなくても良いかなと思いますが、胚が無駄になってしまうことも事実ですので、よくお考え頂ければと思います。
無事にご妊娠、ご出産に至ることをお祈りしています。
GM-CSFとは、サイトカインというホルモンのような役割に近い働きをする因子の1つで、胚が独自に合成することができず、子宮内膜から分泌される因子と言われています。サイトカインには、他にも成長因子など様々な種類があります。
最も有用性を主張している論文では、GM-CSF添加培地と通常の培地を比較したところ、妊娠率は変わらなものの、妊娠12週以降の妊娠継続率と生児獲得率が有意に上昇したとのことです。また、流産歴がある患者様のみで比較すると、その効果はさらに高くなるとのことでした。(およそ5〜8%上昇する) この論文で気になるのは、移植しているのが3日目の分割期胚のみのデータであることと、通常の培養液にもHSAというヒトの血清成分が含まれているため、サイトカインは多量に含まれているのではないかと思いました。
その他、移植用の培養液として使用することで妊娠率が向上したという報告もあります。
どちらにせよ、使用することのデメリットはなさそうなので、お金に余裕があれば使用してみても良いかと思います。
以上です。
無事にご出産に至ることをお祈りしています。
ご質問ありがとうございます。
まず、精子の正常形態率とDNA断片化率は同じことを指しません。
正常形態率は奇形精子の割合を示しており、精子の見た目を評価しています。
DNA断片化は、特別な機器で精子の中のDNAの状態を調べてるため、目に見えない異常の割合を検査します。
ただ、両者に関係性はあり、正常形態率が低いほど、DNA断片化が高い傾向にあります。
精子の胚への影響は濃度や運動率など、総合的に判断しないとわからないですが、正常形態率が0%の症例の成績が低下するという報告がありました。
しかし、正常形態率の基準値は4%以上ですので、そこまで気にされなくても良いかと思います。
zymotは、swim up法の強化版のようなデバイスですが、新しいデバイスなのであまりエビデンスが蓄積されていません。いくつか顕微受精で成績が向上するという報告はありますが、本当に効果があるかは結論が出ていません。
ふりかけ法を行いたいのであれば、普通の調整法で充分だと思っています。
以上です。
少しでもお力になれれば幸いです。
無事にご出産に至る事をお祈りしております。
その学会発表の演題は私も見たことがあります。
実際、コンパクションが遅い胚は発育そのものが悪く胚盤胞のグレードも低い印象があり、いくつか論文にもなってます。
ただ、タイムラプスを使った胚の発育動態にはいろんな要因が影響するため、施設間によって効果や考え方が違う可能性があるものだとお考えください。
タイムラプスインキュベーターを使用しているのであれば、クリニック側がコンパクションの時間を調べるのは容易です。
反対に、タイムラプスインキュベーターがなければ正確な時間を特定することは不可能です。問い合わせすることに何も問題はないと思います。
ご質問ありがとうございます。
残念ながら、胚のフラグメント発生原因はあまり解明されておりません。
報告によっては、年齢との関係性も低いとされています。そのため、しっかりとしたエビデンスがあるような検査や対策はあまりご紹介できません。
分割期胚のフラグメントの量は、胚盤胞発生率に影響します。
フラグメントの他に、胚の細胞数やダイレクトクリページの有無なども胚盤胞発生率に影響します。
一方で、これらの指標はフラグメントも含めて胚盤胞まで発育すればさほど問題がなくなると言われています。
最近、学会発表などで報告されているもので、卵子の透明帯の存在が胚分割の妨げになってしまい、フラグメントを発生させている可能性があるとの報告があります。その報告によると、受精後すぐに透明帯を取り除くことで、フラグメントが減少し、発育や臨床成績が改善したと報告しています。
以上です。
あまりお力になれず、申し訳ありません。
無事にご出産に至る事をお祈りしております。
ご質問ありがとうございます。
ご質問者様の場合、2人目不妊、精子所見良好、AMHに問題ないので、全て体外受精でも問題ないと思います。ICSI適応外ですね。
一方で、このような場合でも1個も受精しない「完全受精障害」の可能性は0ではありませんし、低受精率になってしまう可能性もあります。
クリニックとしては、この完全受精障害となってしまう事が患者様のためにならないと考えているところが多いです。
1個も受精しなければ治療はそこで終了してしまい、また誘発→採卵からやり直さなければいけないためです。また、何も問題がなくても受精しなかった場合の説明が難しいことも理由になります。
ただ、この完全受精障害の確率も10〜20%ほどなので、ほとんどの患者様は問題なく受精します。
おっしゃる通り、クリニック側としては顕微受精自体がコストが高いですし、受精しなければ培養もできず移植もできないので利益が出ないという側面も否定は出来ないでしょう。
本来はこのリスクを説明した上で、体外受精、顕微受精、どちらも行うSPLIT法などの選択肢から患者様に選んで頂くべきと思います。
(症例的に選べる場合は、ですが)
ご質問者様の場合は、一般的には全て体外受精で問題ないと思います。
クリニック側はリスクを理解してもらっているのであれば技術的に無理な事は何もないので、希望を伝えても良いかと思います。
以上です。
少しでもお力になれれば幸いです。
無事にご出産に至る事をお祈りしています。
ご質問ありがとうございます。
いっぱいありますね!
受精用、培養用など用途によっても分かれてます。メーカーごとに市販品もかなり種類あります。
私が使ったことあるのは5〜6種類ですかね。
どれが良いかは患者さんやクリニックによって違うのでなんとも言えないです。
以上です。
ご参考になれば嬉しいです。
いくつか論文で報告があります。
それによると、体外受精と顕微受精由来胚盤胞のPGT-A結果に差はないという報告でした。
ただ、顕微受精では精子の状態が悪い男性因子症例が蓄積するので、その影響がないとは言い切れません。
また、直接的にRCTで比較した報告があまり多くなく、多数の論文のデータをまとめたメタ解析論文などがまだないので、確定的ではありません。
ご質問ありがとうございます。
まず、体外受精と顕微受精の利点と欠点について両者を比較しながらお話します。
体外受精の利点は
・精子が自ら卵子に入るのでより自然に近い受精法である
・コストが安い
・発育が良い(傾向にある)
・受精操作によって卵子が変性することがほぼない
一方で、欠点は
・ 受精率が顕微受精と比べて10〜20%ほど低い(傾向にある)
・ 多精子受精のリスクが高い
・ 一個も受精しない完全受精障害のリスクがある
続いて、顕微受精の利点は
・ 受精率が高い(傾向にある)
・ 精子の状態が悪くても実施可能
・ 多精子受精のリスクがない
・ 卵子の成熟を確認して施行できる
一方で、欠点は
・ 最も人工的な治療である
・ 卵子の中に培養液が少量注入される
・ 胚発育が悪い(傾向にある)
・ コストが高い
・ 顕微受精操作によって卵子が変性してしまうリスクがある
以上です。
体外受精と顕微受精の妊娠率は胚盤胞移植であれば変わらないという報告が多いです。PGT-A後の正常胚率も同等であるという報告があります。
気になったのが、抗核抗体陽性の件です。
抗核抗体陽性患者様の卵子は、採卵後に未熟である割合が高く、顕微受精を行なっても多前核(多精子受精のような前核を形成してしまう)となってしまう割合が高いです。
抗核抗体陽性に関しては、これといった対策が今のところなく、とにかく正常に受精し、発育する卵子に出会うまで続けるというのが現状です。
お金に余裕があるのであれば、私は成熟が確認でき、受精率が高い傾向にある顕微受精をお勧めします。
以上です。
少しでもお力になれれば幸いです。
無事にご妊娠、ご出産に至ることをお祈りしております。
一般的な各成績の平均の割合ですが、
採卵数あたりの成熟率は80〜90%
ふりかけ法の正常受精率は60〜75%
顕微受精法の正常受精率は65〜85%
以上が、平均的な成績かと思います。
以下の記事もご参考ください。
https://ebr-reference.com/what-is-goal-of-art-outcomes/
ご質問ありがとうございます。 通常、胚盤胞へ発育するのは遅くても7日目までです。そのため、最大培養日数は7日目までとするクリニックがほとんどです。 非常に残念ですが、9日目で胚盤胞へ発育していないということは、分割が停止してしまっていると思います。 胚移植ができるような胚ではありません。仮に9日目までの培養費などを請求された場合は拒否しても良いと思います。以上です。
ご質問ありがとうございます。
ご質問の件ですが
まず、体外受精と顕微受精由来の胚盤胞のどちらが妊娠しやすいか?についてですが、「変わらない」という報告が多いです。
妊娠率や、正倍数性胚の割合も変わらないという報告が見られます。
一方で、顕微受精の操作は体外受精と比べるとかなり人工的です。人が選んだ精子を、卵子の膜を破いて注入します。この時、精子と一緒に培養液など体内にはないものがほんの少しだけ卵子に入ります。こういった事から、より自然に近い体外受精由来の胚から移植を行う方針のクリニックもあります。
より早く妊娠し、出産を目指すのであれば、受精させた方法に関わらずグレードの良い胚盤胞から順番に移植を行うと良いと思います。
ちなみに、グレードの付け方や成績は、クリニックにより異なるので通院されているクリニックに準じて頂ければと思いますが、私のクリニックでは、5BBよりも3AAの方が妊娠率は高いです。
以上です。
お力になれれば幸いです。
無事にご出産に至ることをお祈りしております。
ご質問ありがとうございます。
最近は、ほとんどのクリニックでガラス化凍結方法が統一されているため、凍結液や融解液もメーカーが異なっていても成分はほぼ同じなので問題ない場合が多いです。
ただ、症例数が少ないクリニックや胚培養士が少ないクリニックでは、そのクリニック独特の方法などで凍結融解している場合などが稀に見られるため、その場合は上手く融解できない可能性があります。
北里社の凍結融解液とクライオトップデバイスが最も普及しているので、それであれば融解できないクリニックはほぼないと思います。
以上です。
ご参考になれば幸いです。
無事にご出産に至る事をお祈りしています。
私の知る限りですが、一卵性双胎になるリスクと胚盤胞のグレード、大きさ、発育スピードなどとの関係性についてはほぼ報告がないと思います。
一卵性双胎になるリスクが上昇するパラメーターは
胚盤胞移植 > 分割期胚移植
母体年齢35歳未満 > 35歳以上
媒精法 cIVF > ICSI
AHA あり > なし
などが関連していると報告があります。
すでに胚があるのであれば、移植時のAHAはしない方が良いかもしれません。
ご質問ありがとうございます。
そもそも、アシステッドハッチングを行う事で妊娠率が向上するかどうかは確実なエビデンスがありません。
AHAは「保険」のようなもので、「移植後に胚が孵化できないために、着床できなかった」というリスクを回避するために行います。
また、BL-3のような拡張しきれてない胚盤胞に対してAHAを行うことに関してですが、特にデメリットはないと思います。透明帯は拡張するためには邪魔でしかないので、孵化しても胚盤胞は大きくなります。
むしろ、透明帯の存在により拡張が上手くできない事が原因で孵化ができない可能性も考えられますので、個人的には行う事に意味はあると思います。
以上です。
お力になれれば嬉しいです。
無事にご出産に至る事をお祈りしております。
ご質問ありがとうございます。
また、詳細なデータを教えて頂きありがとうございました。
抗セントロメア抗体価が高い患者様は
・成熟率が低い
・多前核が多い(3PNよりもさらに多い前核が出現)
・胚発育率も低い
このような特徴があります。
今回、ご質問者様はふりかけ法でしたが、多精子受精が起こりにくい顕微受精でも、多前核が多いのも特徴です。
ご質問者様の場合、確かに正常受精率が低く、多前核率は高いのですが、成熟率が低くなさそうで、胚盤胞へ発育しており、自然妊娠経験もあることから抗セントロメア抗体の可能性は低いと思います。
ただ、抗体価によって重症度は異なりますので可能性は0ではありません。
安心のために検査するのも良いかと思います。
見分ける方法として、今回の多前核が3個よりもさらに多い前核(4PNや5PN以上)ばかりであったのであれば、抗セントロメア抗体の可能性が疑われます。
ほとんどが3個の多前核であったのであれば多精子受精によるものの可能性が高いです。
私が出会った抗セントロメア抗体価が高い患者様は、多数の卵子に顕微受精を行ってもほとんどが多前核になってしまい、正常受精は10%未満で、そもそも受精させることが難しい状況でした。
さらに受精しても発育は悪く、その傾向は何度採卵しても同じなので、移植可能胚ができるまで採卵を繰り返すしかありませんでした。
抗体価の高さにもよりますが、抗セントロメア抗体の患者様の自然妊娠はかなり難しいと思います。
以上です。
お力になれれば幸いです。
無事にご出産に至る事をお祈りしております。
卵巣刺激法
ご質問ありがとうございます。
また、詳細な治療歴を教えて頂きありがとうございます。
まず、初期胚移植ですが、胚盤胞移植には劣るものの、妊娠率は10〜30%ほど期待できます。そのため、現在も多数のクリニックで施行されており、意味がないというのは少し違うかなと思います。
ご質問者様の場合、低刺激でも採卵数が多いので、高刺激にした場合はさらに1度の採卵で多くの卵子が獲得できる可能性が考えられます。
高刺激の場合は通院回数が増えたり、薬剤の副作用が強く出たりするデメリットもありますが、一回の採卵あたりの利用胚率は低刺激より期待できます。
低刺激で上手くいっていないのを考えると高刺激のクリニックに転院するのもアリだと思います。
気になったのが、これまで6〜10個取れる採卵を8回して、胚盤胞として利用できたのが3個というのは、年齢を考慮してもあまりに少ないかなと思います。
(少なく見積もっても、採卵数あたりの胚盤胞率が7%未満)
そういう点も考えると、患者さんによって合う合わないもありますので、転院を検討されるのが良いかなと思います。
以上です。
少しでもお力になれれば幸いです。
無事にご出産に至る事をお祈りしております。
採卵2回で35個採卵できて、凍結できた胚が4個はかなり厳しいですね。
成熟率や受精率はどうだったのでしょうか?
もし、成熟率や受精率が極端に低いのであれば卵巣刺激が上手くいってない可能性が考えられます。
一方で、成熟率や受精率に問題はないにもかかわらず、発育がとにかく悪い場合は精子や卵子の質、もしくは培養技術に問題がある可能性が考えられます。
採卵個数的に卵巣機能は低くないと思いますし、同じ高刺激でも誘発のやり方によっては改善することも考えられます。
どちらにせよ、今のクリニックの方針や刺激法が合っていない可能性はあるため、転院を検討してみても良いと思います。
ご質問ありがとうございます。
PCOSの患者様は、LH優勢により無排卵となってしまうため、おそらく完全自然周期による採卵ではなく、低刺激による採卵を行うことになると思います。
クロミフェンやレトロゾールでエストラジオールを抑えた上でFSH製剤による卵胞発育を促すのがセオリーのようです。
そのため、同時に複数個の卵子が発育し、採卵できることになると思います。
刺激方法に関しては医師が判断するところなので、主治医にご相談ください。
以上です。
無事にご出産に至る事をお祈りしています。
ご質問ありがとうございます。 自然周期、刺激周期ともに良いところ悪いところがあり、どんな治療を希望するかによって良し悪しは変わってくると思います。 一方で、ご質問頂いた「卵子の質」という点で比較すると、「ほとんど変わらない」と思います。 数年前の日本では、自然周期をメインで行なっているクリニックが多く、それらのクリニックは自然周期が最も質の高い卵子を採卵できる!と謳っていました。 しかしながら、最近では胚の染色体検査が可能になり、刺激周期により、一度の採卵で複数の染色体正常胚が得られることがわかりました。 一度の採卵で、質の良い卵子がたくさん取れることが証明されてしまったため、自然周期=質の高い卵子という主張は覆されました。 自然周期の魅力は採卵のための薬剤注射が圧倒的に少なく、副作用がほとんど起こらないことなど、患者様の身体的負担が軽減されることにあるかと思います。また、高齢の患者様やホルモン薬の効き目が低い方などは、刺激周期でもあまり採卵個数が取れない可能性がありますので、結果として自然周期の方がメリットが大きい可能性があります。 卵巣予備能が高く、採卵回数を出来るだけ少なくしたいという方には刺激周期をお勧め致します。 無事にご妊娠、ご出産に至ることをお祈りしております。
私のクリニックは高刺激メインですので、まさにおっしゃるようなショート法で上手くいかず、アンタゴニスト法に切り替えたら上手くいったというパターンをよく目にします。
ただ、そういった患者様がとても多いわけではないので、誘発法を変えれば「必ず成績が改善する」わけではないということはご承知おきください。
胚培養士の就職・試験
ご質問ありがとうございます。
とても鋭いですね。
新卒または既卒(未経験者)を募集しているところは人員的に余裕がある可能性が高いです。
なぜなら、未経験者をゼロから教えられるほどの人員的余裕があるということだからです。未経験者が臨床に入れるように教えるためには、教えるためのスタッフが1人は必要です。
経験者のみ募集のところは、とにかく即戦力が欲しい場合が多いので、ゲリラ的に人が辞めたか、そもそも少ない人数でギリギリで回していて件数が増えて大変になってきたという可能性があります。
そのため、人員に余裕のないクリニックであると予想できます。
新卒も経験者も歓迎!というところは、おそらくある程度の余裕があるところに分類されると思います。(なんでも良いから人が欲しいという場合もありますが。。。)
どちらも例外はあるのであくまでも傾向ですが、そのようなクリニックが多いと思います。
以上です。
ご参考になれば嬉しいです。
ご質問ありがとうございます。
生殖補助医療胚培養士の認定試験は年々難しくなっており、最近の合格率は6割から7割くらいです。
そんなに難しくしてどうするんだと思いますが、受ける人数も増えてるのが要因かと思います。
勉強法は、最近試験を受けた先輩などに教えてもらうことなどができない場合、教科書を丸暗記するくらいしかやりようがありません。かなり広く浅く出題されます。
また、面接ですが、面接官は基礎系の教授、臨床の医師、倫理の医師(または教授)の3対1で実施されます。基礎系の質問や、臨床の質問は筆記テストをクリアしている人なら問題なく答えられるレベルです。難しいのは倫理の部分です。たまに突っ込んだ倫理のことを聞かれますので、教科書の後ろの方の倫理の部分は読んで暗記しておいた方がいいと思います。
無事に受かるといいですね。
ご質問ありがとうございます。
どんな胚培養士になりたいか、エリアはどこがよいかにもよりますが、おすすめは大きいクリニックです。
教育もしっかりしており、雇用条件も比較的企業に近くなっている場合が多いです。あと、長く働けるかどうかも大事です。(クリニック自体が潰れないかどうか)
大手のクリニックかどうかの基準は
年間周期数が500以上
胚培養士数が5人以上
毎年学会に参加している
などですかね。(私見です)
ただそういうクリニックは倍率も高くなりますし、一人前になるまでに時間がかかるなどのデメリットもあります。
ぜひ、頑張ってくださいね。
ご質問ありがとうございます。
胚培養士の世界では、若くして責任者を任せてもらっている人が多いですね。20代で責任者をしている人もいます。
経緯はいろいろありますが、開業する時に引き抜かれたり、上司が辞めていった結果、自分がトップになってしまった、みたいなケースが多いイメージです。
年齢層は30代後半から40代後半くらいが1番多い印象です。
女性社会でやりにくさを感じるか?というご質問ですが、これは本人の性格などにもよると思います。私は男性でむしろやり易かったです。男女関わらず、どんな職種でもある程度のコミュニケーション能力は必要です。
あとは、男性で患者さんに嫌がられる可能性はあります。産婦人科ですので当然です。そこは不利な点かもしれません。
以上です。
頑張ってください。
胚培養士の世界でお待ちしています。
退職された理由にもよるのですが、一般企業と同じで離職率が高いクリニックと低いクリニックが存在します。
ご質問者様のクリニックのように、数ヶ月で3人辞めるのは離職率が高いと言って良いでしょう。
給料が安く、業務が多く、休みが少ないクリニックは離職率が高いです。
あとは、最もよく聞くのが人間関係、パワハラなどです。この場合は集団で離職するケースが多いです。
給料は地域や経験年数にもよるのでなんとも言えませんが、週休2日制、8時間労働、残業代あり、最低限この3つは労働者として死守すべきだと思います。
これをクリアしていないクリニックは、働くメリットはほぼなく、さらにまともな技術を教えてくれることもないでしょう。身体が削られていくだけなので、転職をおすすめします。
ご質問ありがとうございます。
現在、日本で最も多く胚培養士が資格として取得しているのが、日本卵子学会が行なっている「生殖補助医療胚培養士認定資格」です。
これは国家資格ではなく、学会認定資格であり、この資格がないと胚培養士になれないわけではありません。しかし、この規定に準じて胚培養士を採用しているクリニックが多いと思います。
生殖補助医療胚培養士認定資格の受験資格には、
医学部、農学部、生物理工学部、畜産学部、獣医学部、共同獣医学部、獣医学群、生物 生産学部、生物産業学部、応用生物科学部、生物資源科学部、生物資源学部、農学生命科学 部、応用生命科学部、生命科学部、生命環境学部、生命・環境科学部、農食環境学群、薬学部、
保健衛生学部、看護学部、医療技術学部、保健医療学部、医療衛生学部もしくはこれらに準ずる機関において、生殖生物学関連の科目を修得した学士
と書かれていますので、この中に含まれる学部に進学するのが良いかなと思います。(試験が受けれなくなるので)
即戦力が欲しい場合など、学部によって就職に不利となる可能性は0ではありません。
胚培養士としては、大学で動物の卵子や胚の体外操作を行なった経験があると、胚培養士になった時に技術が速やかに備わると思います。
以上です。お力になれれば幸いです。
胚培養士の世界でお待ちしています。
そうですね。
おっしゃる通りだと思います。
今後の期待する展望としては、認知度が上がり社会的に認められる資格となれば、「管理胚培養士がいないクリニックはダメなクリニック」というイメージが定着するかもしれません。
そうなれば、自分が管理胚培養士を持っている事で患者さんが安心して来院できる事に繋がる可能性はあると思います。もっと経営的に言えば、管理胚培養士の存在が集客に繋がると思います。
まぁ、現時点ではそうではありませんし、取得しなくて良いでしょう。
他のスタッフの負担が増えるかどうかは、その人次第です。業務時間外に一人で論文執筆を頑張る事も可能できますので。ただ、その努力に見合うメリットがあるかは今のところ疑問ですね。
ご質問ありがとうございます。
同時にいくつかの施設で就職活動をするのは当然だと思いますので、全然問題ないと思いますよ。
内定をもらってから辞退するかどうかについては、これも可能だと思います。
内定承諾書自体には、対した拘束力もないので。また、辞退したからといってその後胚培養士として働く上で不利になることもありません。
ただ、一般企業と違うのは、その年の採用人数が1人や2人と少ない施設が多く、辞退者を想定して募集しているわけではないので、その点については配慮して貰えたらと思います。
内定辞退は可能ですが、かなり迷惑がかかる事は気にしてもらえたら嬉しいですね。辞退する時はできるだけ早めに伝えた方が良いでしょう。あとは、他のクリニックも考えているか聞かれたら正直に答えて良いと思います。
クリニック側もより良い人材を求めているので受けに来てくれた学生さんはみんな会ってから決めたいと思っているので、お互い様です。
以上です。
胚培養士の世界でお待ちしております。
ご質問ありがとうございます。
我々にもわからないですが、保険適応になるからには国家資格にせねば!という動きがあるみたいですよ。
私は、国家資格になってもならなくてもどちらでも良いと思っています。
国家資格になると心配なのが、ここまでは培養士がやって良い事、ここからは培養士が絶対にやってはいけない事、みたいに大きく線引きされてしまいそうなのでならなくても良いかなと思っています。
以上です。
ご質問ありがとうございます。
ご質問者様がどんなクリニックを求めていて、受けるのがどんなクリニックかわからないので、ご自身が聞きたい事を聞くべきかと思います。
参考までに、私なら年間採卵周期数、学会参加の頻度、培養士の人数、休日日数、お盆や年末の状況などを聞きますかね。
見ておくべきところも、何を重要視して胚培養士になるかによって違います。
私は胚培養士同士の仲の良さ、雰囲気などを注意深くみます。殺伐とした雰囲気で働いているか?それとも、スタッフ同士が仲良さそうか?などが重要です。自分が働く職場の雰囲気の良い培養室を選びたいので。
個人的には胚培養の知識は入ってからで良いかと思います。
新卒と同じ扱いになると思いますが、それは承知の上で転職された方が良いと思います。
以上です。
ご質問ありがとうございます。
日本卵子学会の生殖補助医療胚培養士の資格試験を目指して勉強しておくということでよろしいでしょうか?
クリニックによって考え方や進め方は異なりますが、教科書的な内容は知っておいて然るべきかと思います。
個人的な考えとしては、もちろん勉強しておいて損はありませんが、入って技術とともに勉強した方が身につくかなと思います。
資格試験は以下の教科書から出題されますが、内容の書き方が分かりづらいのと値段が高いです。頑張ってください。
胚培養士を目指しているということで、大変嬉しく思います。
OB訪問などを行っているというお話はあまり聞きませんが、大学の研究室から胚培養士になった先輩がいる場合は教授などを通じて話を聞くことは可能かと思います。
不妊クリニックの体質というか、風習で、施設の技術や性質をあまり外部に漏らしたくないという歴史があったため、見学なども面接を受けた学生限定に絞っている施設などが多いかと思います。
おすすめとしては、自分が希望する施設の前にいくつか大きいクリニック(大きいとは年間の周期数、患者数が多いという意味です)に面接に行って見学させてもらい、いろいろ質問して話を聞き出すのが良いかと思います。
大きいクリニックでは面接者の見学を断ることはほとんどないと思います。
頑張ってください。
クリニック選び
ご質問ありがとうございます。
とても鋭いですね。
新卒または既卒(未経験者)を募集しているところは人員的に余裕がある可能性が高いです。
なぜなら、未経験者をゼロから教えられるほどの人員的余裕があるということだからです。未経験者が臨床に入れるように教えるためには、教えるためのスタッフが1人は必要です。
経験者のみ募集のところは、とにかく即戦力が欲しい場合が多いので、ゲリラ的に人が辞めたか、そもそも少ない人数でギリギリで回していて件数が増えて大変になってきたという可能性があります。
そのため、人員に余裕のないクリニックであると予想できます。
新卒も経験者も歓迎!というところは、おそらくある程度の余裕があるところに分類されると思います。(なんでも良いから人が欲しいという場合もありますが。。。)
どちらも例外はあるのであくまでも傾向ですが、そのようなクリニックが多いと思います。
以上です。
ご参考になれば嬉しいです。
ご質問ありがとうございます。
経験豊富な胚培養士がいるクリニックの見分け方ですが、
「培養室に責任者を置いているクリニック」かどうかが重要だと思います。
また、その方の名前や写真、略歴などをクリニックのホームページに掲載していると安心です。
また、「年間の採卵件数が多いクリニック」はやはり安心感があります。
なにを持って経験豊富かという問題ですが、
年間件数が50件のクリニックで、20年働いている胚培養士と、年間件数が3000件のクリニックで、5年働いている胚培養士では、圧倒的に技術的経験は5年の培養士の方が上です。
件数は極端な例ですので、刺激周期で年間300件以上行っていれば、そこそこ大丈夫かと思います。
この2つを満たすクリニックであれば、ある程度選別できると思います。
ちなみに、胚培養士が辞めてしまう原因の多くは、結婚、出産に次いで、残念ながら、人間関係問題などが多いです。
以上です。
無事にご妊娠、ご出産に至る事をお祈りしております。
数年前に、採卵時に卵胞を洗浄してもしなくても、採卵できる個数は変わらないという報告が出た事により、意見が真っ二つに分かれています。
洗浄しない派の主張は、「一度の吸引で取れないのは採卵が下手だから」「何度も洗浄液で洗う事で卵子にダメージとなる」という物が多いです。何より時短になるのが利点ですね。
洗浄する派の主張は、「洗浄しなかったら取れなかった卵子があるはずだ」「少しでも多くの卵子を取るべきだ」という物が多いです。
ちなみに、洗浄液は市販の物を使用しているクリニックが多く、緩衝液に血清が少し入ったような物なのでそこまで身体に悪いことはないと思いますが、「体内に入れなくて良いもの入れている」といえばその通りだと思います。
私の所属するクリニックでは洗浄をたくさん行うのですが、確かに2〜3回目の洗浄で取れてくることがあるので、意味がないとは言い切れません。
一方で、洗浄ありきで吸引しているので最初の卵胞液吸引がおざなりになってしまっているのでは?と思う時もあります。
採卵が上手な先生であれば、洗浄するしない、どちらでも変わらないのではないかと思います。
治療成績
一般的な各成績の平均の割合ですが、
採卵数あたりの成熟率は80〜90%
ふりかけ法の正常受精率は60〜75%
顕微受精法の正常受精率は65〜85%
以上が、平均的な成績かと思います。
以下の記事もご参考ください。
https://ebr-reference.com/what-is-goal-of-art-outcomes/